「大須裏路地おかまい帖~あやかし長屋は食べざかり~」(神凪唐州)を読みました

読書

名古屋市中区大須、新しいものと古いもの、日本のものと外国のものが激しく交錯し、東京なら中野を思わせるようなサブカルタウン。
そんな街の中で、人と妖怪(あやかし)が繰り広げる人情?妖情?ドラマ、それが「大須裏路地おかまい帖~あやかし長屋は食べざかり~」。

1年ほど前に読み終えた「異世界駅舎の喫茶店」、作者Swind氏が神凪唐州と名を改めての、書き下ろし作品。
前回があまりの分厚さに面食らって読み出すのに数ヶ月、読み終えたのは1年後。そんな積ん読の定番をやらかしたのですが、今回は、1ヶ月ほどでライトに読了。

ただ、挿絵が無く、話からイメージを妄想するのに激しく苦しむのです。
異世界駅舎から(猫とか)脳内召喚されたり、作者のTwitterのタイムラインの写真から召喚されたりと、リアルなのは大須の景色と、舞台となった居酒屋「なご屋」の想定イメージぐらいでしょうか。

さて、ザックリ言ってしまうと、

  • 特殊な才能を持った町の小さな神社の神主兼居酒屋の雇われ店長が、あるとき妙な猫を拾うが、それは幼い怪だった。そして同居する。
  • 「なご屋」に集う人とおやかしのおかしな日常と騒ぎに振り回されつつ巻き込まれつつ。
  • あるとき家でして戻って来ない幼い怪の猫、ひょんなことからこの世に現われた理由が解き明かされると共に、救出大作戦が始まる。

大須は妖怪だらけという新たな解釈と想像から、この作品が紡がれてきたらしいのですが、なんだろう…あぁ、まぁ、そうね…と、思わず頷いてしまうから、大須というのは、何とも変な、それでいてそこはかとない魅力を感じさせる町で飽きが来ないわけです。
時空がシームレスに繋がる混沌感、大須にはなんかそんな妙なものはたしかに感じるのです。

そして、今回もやっぱり食い物。舞台が名古屋で作者が名古屋めし研究家なもんだから、やたら名古屋めしが出て来るわけで。さすがに地元の自分にはありふれた内容で驚きもしないのですが、その中でもと問われたら、油揚げに刻みネギと味噌だれを混ぜたものを入れてトースターで焼いたもの。
名古屋めしというにはいささか異論が出そうだけど、酒の肴には持ってこい。

酒呑み的には、朱音が冷蔵庫から引っ張り出す酒あれこれ、銘柄描写もしてくれれば良いのになどと、少々消化不良気味になります。

名古屋、大須を知る人には、また遊びに行ってみたくなる、小説風の謎解きガイドブック、そんなイメージになるでしょうか。
そうで無い人にはどんな印象になるかは分かりませんが、もし行きたくなったとしたら、作者的には大成功なのかもしれません。

ただ、作中にも紹介される、鶏の唐揚げの上にあんことホイップクリームが乗ったアイテムは、後悔はしたく無ければ、手を出さないことです。

挿絵が無いと書きましたが、この作品はコミックでは無く、絵本としてビジュアル化して欲しいなと思います。「大人の絵本」ですね。

さて、読了してしばらく後、ちょっくら聖地巡礼してきました。

こちらが舞台の北野神社。
ホントに小さな神社でよくもまぁここをキーにしたなと、作者のセンスを尊敬します。

ただ、この大須というのは、神社や寺院など大小様々なスポットが大須という街空間に融け込んでおり、

北野神社から数分歩いたところには、別の冨士浅間神社があったりします。
この時は向かいのみちのく屋(の夜営業の日本酒Bar廣瀬)でさぁこれから呑まんとしていたときではありますが、昼間はここでお祭りもあったとか。

大須というのはこんな路地があちこちにあり、ロジマニアには何とも楽しい空間でもあります。

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